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連帯保証人について

2018.10.06

さて今回は、民法大改正によりルールが大きく変わる不動産賃貸借契約の「個人の連帯保証人制度」についてお話しいたします。今回改正となる民法は、債権関係の部分においては約120年ぶりの大改正で、いよいよ「平成32年4月1日」からスタート予定です!

現在の「連帯保証人」は、家賃滞納だけではなく、借主が引き起こした他の債務や賠償についても基本的には適用となります。しかし、改正後はこの上記一切という取り決めが無効となります。

 

~「極度額を定めていない連帯保証条項は無効とされます。」~

賃貸借契約において、個人の連帯保証人を付けるときは、必ず契約締結時に極度額(連帯保証人の責任限度額)を定めなければならない事になりました。契約書に、連帯保証人の責任限度額「極度額」を記載することが義務化されます。

極度額」の設定金額については、法律上規定がない為、オーナー様と連帯保証人様との間で合意した金額を設定することになります。例えば「家賃○カ月分まで」や「上限100万まで」や金額を明示するなど具体的な目安を契約書に明示しておかなければなりません。

極度額」の記載がない賃貸借契約書の連帯保証人条項・連帯保証人引受承諾書等は、なんと「無効」となり、万が一の際、連帯保証人様へ責任を問えなくなりますので、とても重要な改正ポイントです!

※上記の内容は、あくまでも個人の保証人の場合に適用されます。法人の保証人には適用されません。

 

「借主が死亡後の債務は、保証の責任対象外となります。」

借主様が死亡した場合、その時点で連帯保証人様の債務の元本(保証すべき金額)が確定されます。それ以降に発生する債務は保証の責任対象外となります。例えば、借主様が死亡後、同居人の子息が賃貸借契約を引き継ぎ住み続けた場合、その引き継がれた賃貸借契約に関しては、連帯保証人の責任対象外となります。その為、借主様が死亡後は、連帯保証人がいなくなります。オーナー様としては新たな保証人様を準備していただかなくてはなりません。

 

「賃貸人の連帯保証人への情報提供義務」

オーナー様は連帯保証人様に対し「情報提供の義務」が義務化されます。

①  連帯保証人様から、問合せがあった時

連帯保証人様から問合せがあった場合、連帯保証人様を保護する観点によって、借主様の同意なしでもオーナー様は、「家賃の支払い状況や滞納額を遅滞なく回答しなければならない。」事が義務化されます。回答しなかった場合、借主様が家賃を滞納などした場合に、連帯保証人様への請求に支障が生じる可能性がございます。

②  借主が期限の利益を喪失したとき

例えば、借主様が家賃を滞納した場合、分割払いの合意を交わして「分割払いの支払いを怠ったら、期限の利益を喪失し、残額を一括で払う合意をした。」場合など、期限の利益を喪失した場合、オーナー様は連帯保証人様に2か月以内にその旨を通知しなければなりません。

※上記の内容は、あくまでも個人の保証人の場合に適用されます。法人の保証人には適用されません。

 

民法改正後は、個人の連帯保証人様の保証する範囲が限定されるので、オーナー様のリスクが高くなります。そのため、「家賃保証会社」の利用が主流になってくると思われます。保証会社が、保証対象外である居室内での事故や損害の対策も必要となりますので、この機会に保険の見直しも検討してみてはいかがでしょうか。